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ビジネスに重要な集客とは?

 インターネットを介して簡単に情報発信ができる道具として、多くの人が利用するブログ(日記風簡易サイト)。芸能人や著名人の情報発信の手段としてもすっかり定着した。なかには多くの閲覧者を集め、既存のメディア以上の影響力を発揮するブログも存在する。こうしたブログを手がける“アルファブロガー”と呼ばれる著名な執筆者らにブログの現状と未来を語ってもらった。−−総務省は2008年の国内ブログ数が1600万件を超えたとの調査をまとめた。国内のブログサービスの現状をどうみるか  「1600万という数字は多すぎるという印象だ。この調査では、一方で『スパム』と呼ばれるウイルス配信が目的のブログも多数あると指摘しており、実際、積極的に更新されているブログ数は300万程度だろう。ただ、この数字でも極めて多いとはいえる。ジャーナリストなどの専門家が発信するケースが多い海外のブログとは異なり、日本では芸能人ブログを代表格にして、消費者個人が自ら日常で起きたことを日記のように書き留めるブログが多い。それが日本のブログ数を押し上げている」  −−ネットビジネスにおけるブログの存在意義とは何か  「製品やサービスの“口コミ効果”が見込めることが、ブログのビジネス性だといえるだろう。個人による評価を受け、その論評を参考に人々が購入行動をするというマーケティング効果だ。お金をかけ、大量の情報を配信する“マス”を対象にしたマーケティングと違い、ブログの口コミマーケティングは、より個人を経由したマーケティングとなる。大量に宣伝しても商品が悪ければ、ネットの価格比較サイトで徹底的に悪口を書かれる。ブログもまた同様で、商品の本当の特性をより反映したマーケティング効果が見込めるといえるのではないか」  「ただ、その一方で2006年ごろから、執筆者にお金を渡し、いわゆる“ヨイショ”記事(ブログ)を書く風潮が広まってしまった。それは本来のブログを使ったマーケティングとは本質的に異なるもので、重要なのはいかに利用者の本音を引き出せるかだと思う」  −−ブログを使った宣伝手法は今後も利用されるだろうか  「ブログという形にとらわれず、より広い意味でネットを活用したマーケティング手法は、今後も広がるだろう。口コミは、個人に対して非常に影響力のある宣伝手法だ。ただ、以前の口コミは特定の時間と場所においてのみ発生した。しかし、ネットが登場してきたことで、その口コミの情報は長期間、人々の目にさらされて伝播(でんぱ)する経路もはるかに多様化した。このマーケティング手法は、今後も広く活用されていくと思う」  −−メディアがブログを活用する動きも活発化している  「メディアがブログ、またはネットを活用する上で重要なのは、情報をカテゴリー化することではないか。最近、ブログで連載された料理のレシピを紹介した本が爆発的に売れた。このブログはレシピの紹介に特化しており、読者も『ここにくれば最新のレシピが分かる』という思いでアクセスが非常に多かった。既存メディアは多様な情報を配信しているが、ネット上では“わかりやすさ”が求められる。多様な情報を提供する既存メディアがそれをまとめて紹介する方法は、ネットには必ずしもそぐわないと思う。また、個人を売りにするブログも少なくないが、個人ベースで集めることができる閲覧者数はどうしても限定的になる。それと比べると、カテゴリー分けしたブログの方が集客力が高い」 インターネットがもたらした現象として脚光を浴びた「ロングテール」。そもそも、商品を横軸、販売数を縦軸にとり、販売数の多い順に並べたグラフにおいて、販売数の少ない商品群が恐竜の長い尻尾のように伸びるところに由来しているが、ロングテールの解釈を巡っては、さまざまな誤解や意味の混乱が生じている。そこで本特集では、ロングテールの定義を再確認するとともに、その成功の秘訣を探る。 単なる豊富な品揃えではまったく不十分  『WIRED』誌上で編集長のクリス・アンダーソン氏が提唱したロングテールは、日本においても話題になった。収益の多い順に商品を並べたグラフにおいて収益の少ない商品群が恐竜の長い尻尾のように伸びていく現象を意味するこの言葉は、マーケターの間で流行語化し、「ロングテール」をタイトルに冠した書籍が次々と刊行されたり、ニッチマーケットのセミナーが開催されたりした。しかし、最近はこの言葉を耳にする機会が少なくなっている。  その理由は、ロングテールという言葉を巡ってさまざまな解釈がなされ、誤解や意味の混乱が生じたところにあるのではないだろうか。代表的なのは、「80%の売れない商品を束ねれば、上位20%の売れ筋商品以上に収益を上げることができる」といった主張だ。また、アマゾンのようなビジネスモデルに言及する場合と、特定のニッチ商品のeコマースについて語る場合、ブロガーの台頭について語る場合では、議論の土俵が異なるにもかかわらず、まるで同じ次元であるかのようにないまぜに議論されている。  加えて、ロングテール型のビジネスで成功するためには、ただ単に品揃えを拡大すればいいというわけではなく、ほかにも前提となるさまざまな要素があるはずだ。具体的には、仕入れや在庫・物流面の工夫、豊富な品揃えを活かしたサイトへの集客方法などである。本誌では、そうした観点から企業取材や、専門家へのインタビューを行い、ロングテール型のビジネスについて再検証することにした。 経営資源を活かした品揃えの拡大を推進  では、今回の取材企業の概略を以下にまとめてみよう。  素材の良さと確かな縫製技術に定評がある繊維製品メーカー久米繊維工業(株)では、61色ものカラーバリエーションと細かなサイズ展開を特徴とする無地Tシャツや、アーティストによるデザインTシャツをネット販売している。ネット販売での売れ筋商品は定番の無地Tシャツ。同社のモノづくりへのこだわりや環境への配慮に共感する見込客をWebサイトに誘引するため、クリエイターのブログ・コミュニティやアフィリエイト・プログラムを展開している。スタッフ自身もブログでプロジェクト進行状況やイベント情報をアップするなど、顧客接点の拡大に余念がない。  (株)ストラップヤネクストは、ネット黎明期からアクセサリーのネット販売を開始。メーカーから卸に転業後、それまでの仕入れや販売のルートを活かして、商材をストラップに絞り込んだ。2000年以降、楽天市場やYahoo!ショッピング、ビッターズ、アマゾンなどアクセスが多いショッピングモールへ出店を拡大。ストラップ専門店としての地位を築いてきた。「いろいろな商品があったほうが面白い」と、数十円のストラップのパーツから数万円の高級素材を用いた商品まで約1万点を取り揃え、一部のサイトは毎日更新している。中心価格はたった数百円だが、アイテム数の増加に伴い、客単価も以前の1,700円から2,500円へと上昇しているという。  (株)文化放送は、2007年1月、(株)小学館と手を組み、落語音源の有料ダウンロード・サービス「落語の蔵」をスタートさせた。自社で放送した1950年代後半以降の音源をコンテンツとして見い出したのだ。平行して、新作のラインアップにも注力。自社ビル内に「浜松町かもめ亭」という寄席を設けたほか、提携している小学館と共催で「らくだ亭」という落語会を都心にて興行するなど、音源の安定供給のルートを確保している。この5月にはアフィリエイト・プログラムの展開を開始。その効果は高く、サイトへの月間アクセス数が、前月の2.5倍に急増した。ももともと固定ファンの多い“落語”だけに、共通の興味がある人のネット上の動線とこの戦略がマッチしたと言える。  ケンコーコム(株)は、7万点という膨大な品揃えを誇る健康メガショップをネット上で運営。同サイトへの来訪機会創出を強力に支える施策が、ケンブロ(トラックバックセンター)とアフィリエイト・プログラムの連携による徹底した検索エンジンマーケティングだ。品数の多さ自体がSEO対策上優位ということに加え、大量の商品にまつわる情報をサイトに盛り込むのは容易でないことから、商品ごとの情報の一部をブログで補っている。同社においては、アイテム数が膨大な数に上るにもかかわらず、商品ごとの売上高において80:20のパレートの法則が成立する場合があることが実証されている。 「誰が買っているか」という視点から、ヘッドとテールの最適バランスを  企業の売上高が客数×客単価で構成される以上、売り上げの増大には客数や客単価のアップが不可欠だ。品揃えの拡大が、客単価アップだけでなく新規顧客獲得の可能性を高めることは当然だろう。しかし、品揃えの拡大に伴い、売り場づくりやプロモーションのコストもしくは労力は増大する。  確かに、ネットでは、リアルの店舗やカタログ通販に比べて品揃えを低コストで実現することができる。しかし、品揃えの拡大に当たっては、仕入れ面、在庫・物流面の工夫により、リスクを回避することも必要だ。ネット創始期においては、こうした部分をなおざりにしたことで、経営破綻に追い込まれた企業も少なくない。今回取材した企業については、ケンコーコムがサプライヤーに隣接した場所に倉庫を置くことでクイックデリバリーを実現。久米繊維工業は、メーカーである強みを生かして受注生産方式のオーダーTシャツを提案している。また、文化放送の落語音源のように、デリバリーまでをインターネットで行うデジタルコンテンツは、そもそも在庫・物流面の制約が少ないことから、ロングテール型のビジネスモデルに最適な商材と言える。  プロモーションの観点から見ると、ロングテール型のビジネスにおいては、豊富な品揃えを活かしたサイト集客施策が求められる。たとえば、商品名などによる検索を前提とした検索エンジンマーケティングがそれだ。このほか、今回は残念ながら取材協力が得られなかったアマゾンにおけるリコメンデーションも、豊富な品揃えがあってこそのプロモーション手法と言えるだろう。  現在、ロングテール型のビジネスを展開している企業の中には、顧客分析が後手に回っているところも少なくないが、インタビューにご協力いただいた筑波大学講師の水野誠氏が指摘されるように、CRMの観点から品揃えを検証することも忘れてはならない。本誌2006年10月号において、(株)ソフト・アンド・ロジック代表取締役の水沼靖氏が、あるカタログ通販におけるABC分析の結果から指摘しているように、ニッチ商材を購入している顧客が優良顧客であることもある。優良顧客との関係維持の目的で、ニッチ商材をとらえ直すことが必要なのだ。インタビュー時に水野氏も述べているように、「何が売れているか」だけでなく、「誰が買っているか」という眼で、ヘッド部分とテール部分の品揃えのバランスを考えることが大切だと言えそうだ。





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